過去10年攻略データ

2016年に誕生したサラブレッド7071頭の頂点を競うクラシック三冠レースの第二弾。イギリスのダービーステークスをモデルに1932年目黒競馬場で『東京優駿大競走』として創設。第3回より現在の東京競馬場(府中)に施行場を移した以外は距離、施行場とも変更されていない。昨年はワグネリアンが制し、福永祐一騎手悲願のダービー制覇となったが、新緑の府中を舞台に今年はどんなドラマが繰り広げられるか?「ホースマン最高の栄誉」とされる日本ダービーをデータ面から検証する。

皐月賞組を素直に信頼!?

[前走レース]皐月賞組が圧倒的に強く、過去10年で9勝。皐月賞上位組は素直に信頼した方が賢明。京都新聞杯から連勝したキズナもすでに重賞を勝っていた。青葉賞組は勝ち馬こそいないが、2着2回、3着3回と度々馬券には絡んでいる。プリンシパルS組は昨年コズミックフォースが3着と健闘したが、10年以上過去を遡っても、施行初年度の1996年ダンスインザダークの2着が最高。NHKマイルC組は過去10年に絞ると掲示板を確保した馬が1頭もいない。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
皐月賞9-7-4-6510.6%18.8%23.5%
京都新聞杯1-1-1-194.5%9.1%13.6%
青葉賞0-2-3-210.0%7.7%19.2%
プリンシパルS0-0-2-80.0%0.0%20.0%
NHKマイルC0-0-0-260.0%0.0%0.0%

前走着順別成績
前走着順 着別度数
前走1着3-5-5-32
前走2着1-1-2-30
前走3着2-1-0-13
前走4着1-1-0-8
前走5着1-0-0-7
前走6~9着1-1-2-25
前走10着~1-1-1-33

過去10年注目データ

[前走着順]過去10年の勝ち馬の8頭が前走で掲示板圏内を確保。5着以下から巻き返したのは、皐月賞14着から一変した09年ロジユニヴァースと同じく皐月賞7着から巻き返した昨年のワグネリアンの2頭。どちらも皐月賞までに重賞を勝ち、1度も連対を外したことがなかった。前走6着以下から馬券に絡んだ馬は7頭いるが、6頭が重賞ウイナーで重賞勝ちがなかった11年3着のベルシャザールもオープンのホープフルSを勝ち、スプリングS2着の実績を持っていた。重賞ウイナーは前走を度外視して反撃を警戒しておきたい。

[枠順]何といっても注目は白い帽子で、過去10年で1枠が4勝。ゆえに勝率、連対率、複勝率も少し抜けたデータが出ている。昨年は8枠のワグネリアンが勝って、連対がない枠はゼロとなったが、3枠と8枠はやや苦戦している。
馬番別では「1」の(3.2.1.4)が抜群の好相性。馬券絡みがないのは「6」「15」「16」。

[脚質]好走馬の脚質はバラエティに富んでいて、過去10年、4角先頭から押し切った馬こそいないが、昨年はエポカドーロがハナを切って2着に粘り、13年にはアポロソニックが3着に踏ん張っている。
最も活躍しているのは、道中は中団に位置し、勝負どころで押し上げてくるパターン。また、4角11番手以下から差し切った馬も3頭おり、上位人気に推されている追い込み馬はしっかりと結果も出している。またこのパターンで好走した馬は、以降も活躍している馬が多い。

1番人気よりも…

1番人気は(3.1.3.3)と何とも微妙な数字。2番人気の馬よりも3番人気の馬の方が成績は良く、連対率は1番人気を上回る。世代の頂点を決める一戦で、3番人気以内の上位に推されている馬は信頼度も高めといえる。勝ち馬で最も人気薄だったのは10年エイシンフラッシュの7番人気だが、前走が皐月賞3着。過去に京成杯を勝っていた実績馬だった。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気3-1-3-330.0%40.0%70.0%
2番人気2-1-0-720.0%30.0%30.0%
3番人気3-2-1-430.0%50.0%60.0%
4番人気0-1-0-90.0%10.0%10.0%
5番人気1-4-0-510.0%50.0%50.0%
6~9番人気1-0-4-352.5%2.5%12.5%
10番人気~0-1-2-850.0%1.1%3.4%

プラスαデータ

近年は関東馬が反撃傾向

過去10年で関西馬が7勝、2着6回。数字だけを見ると『西高東低』に思えるが、近年は関東馬が盛り返して7年連続で馬券に絡んでいる。
ジョッキーもやはり『西高東低』なのだが、横山典騎手が2勝、蛯名騎手が2着2回、3着1回とベテランが健在を示している。ちなみに2014年は上位3着を美浦所属のジョッキーが独占し、2010年には関西馬で美浦所属のジョッキーがワンツーを決めている。

[キャリア]勝ち馬のキャリアは4~8戦で、そのうち8頭が4~6戦で、中でもキャリア5戦の馬は4勝、2着5回、3着2回の好成績。昨年は上位3頭いずれもキャリア5戦の馬だった。かつては叩き上げの好走馬もいたが、重賞の増設もあり、早く賞金を加算した馬がゆったりしたローテーションで出走してくるパターンが増えつつある。

[乗り替わり]G1戦、特に3歳クラシックレースは総じて乗り替わりが不利となっているが、世代の頂点を決める伝統ある一戦とあって、他のG1と比較しても、ひと際人馬の結びつきが強い。乗り替わりで勝ったのは1985年のシリウスシンボリまで遡らなければならず、そのシリウスシンボリも元の主戦である加藤和宏現調教師に戻ったもの。2着は2回あるものの、乗り替わりは大幅な割引と考えた方がいいだろう。ちなみに皐月賞馬サートゥルナーリアはテン乗りのD.レーン騎手が騎乗予定だが、テン乗りで勝ったのは1954年のゴールデンウェーブまで遡る。

[東京2400mG1の騎手成績]東京芝2400mで行われるG1はダービー、オークス、ジャパンカップの3つ。過去10年でこれらのタイトルを最も多く勝っているのはC.ルメール騎手の5勝。特に昨年、一昨年と2勝ずつをマークし、複勝率は5割にものぼる。続いて岩田騎手が4勝、池添、武豊、横山典騎手が3勝をマーク。いずれもダービージョッキーとなっている。ちなみに戸崎騎手は昨年のダービーなど2着が4回あって、そろそろこの舞台でのビッグタイトルが欲しいところ。横山典騎手は3勝をマークしているが2~3着はゼロで、両極端な『らしい』成績を残している。

[馬体重]勝ち馬の最高馬体重は09年ロジユニヴァースの506キロ。最も軽かったのは11年オルフェーヴルの444キロだが、近年は比較的馬格に恵まれた馬が活躍傾向で、トータルで見ると480キロ以上の馬が8勝。勝利こそないが、520キロを超える巨漢も8頭が出走して3着に2頭が入っている。一方で440キロ未満の馬は8頭が出走して馬券絡みがない。

[種牡馬]過去10年で複数回勝っている種牡馬は4勝のディープインパクトと2勝のキングカメハメハ。ディープインパクトは2着が2回、3着も3回あって大一番での強さを存分に示している。その他ではハーツクライ、ステイゴールド、ネオユニヴァースが勝ち馬を含む複数の入着馬を送り込んでおり、昨年は新種牡馬・オルフェーヴル産駒のエポカドーロが2着。ダービーで好走した馬が親子で好走というパターンも多い。

[実績]過去10年で3着以内に入った全ての馬が重賞での連対経験を持っていた。世代の頂点を決めるレースに相応しい実績を持っていないと大きな壁に跳ね返されてしまう。重賞未勝利馬は3頭でいずれも3着。勝ち馬は全て重賞連対率が50%を超えている。

[距離経験]過去10年で3着以内に入った全馬が1800m以上の距離で連対経験を持っていて、うち29頭に勝鞍があった。1800m以上で勝鞍がなく本番で馬券に絡んだのは09年3着のアントニオバローズ1頭のみ。

データの決断

やや後味の悪い結末となってしまったが、昨年のホープフルSの覇者・サートゥルナーリアが無敗のまま皐月賞を制覇。もちろん断然の主役となるのだが、C.ルメール騎手がNHKマイルCで騎乗停止処分を受け、本番はD.レーン騎手へとスイッチ。乗り替わりのコンビは1985年のシリウスシンボリまで勝っていないというジンクスとも戦わなければならなくなった。秋は凱旋門賞遠征を見据えており、2冠達成のシーンを大いに期待したが、データ面からは大きな減点で、ここでは皐月賞で3着と敗れたダノンキングリーの反撃をプッシュしたい。もう1戦キャリアを積んでいればなおさら良かったが、臨戦過程は申し分なく、流れに左右されない脚質も強味。昨年2着に泣いた戸崎騎手の初戴冠に期待する。