毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【NHKマイルC】キャリアがモノをいう!?
2019/4/29(月)
前身は長くダービートライアルとして親しまれた1953年創設の「NHK杯」。当時クラシックに出走できなかった外国産馬や適性外となる短距離馬にとって3歳春に目標とする大レースがなかったことから、1996年にG1「NHKマイルC」として新設された。近年はここをステップにダービーへ向かう馬や桜花賞で上位となった実力馬が参戦するなど多彩な顔ぶれとなり、新緑まぶしい季節にふさわしいフレッシュな一戦となっている。ここでは3歳マイル王決定戦をデータから検証したい。
ポイントは「距離短縮」
[前走レース]過去10年で勝ち馬を送り出しているレースは5つ。中でもニュージーランドTは出走頭数が抜けて多いためアベレージは低く出ているが、5勝、2着1回、3着3回と王道ローテといえる実績を残している。そして、2勝を挙げているのが牝馬クラシック第1弾の桜花賞。16年、17年は桜花賞に参戦した関東馬が連勝。昨年も関東馬プリモシーンが5着と好走している。一見すると程よい間隔とも思えるファルコンS組は苦戦していて、距離が延びる馬よりも短縮してきた馬の方が好走が多い。
過去10年注目データ
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。2着も3頭いるが、前走勝ってここへ挑む馬が多く、アベレージは決して良いとはいえない。前走掲示板を外して本番で勝ち上がったのは13年マイネルホウオウのみ。勝ち馬に関しては前走で上位の成績が必要だが、3着馬は6頭が前走6着以下からの巻き返し。ちなみに前走6着以下から馬券圏内に巻き返した8頭は全てオープン勝ち、もしくは重賞連対の実績を持っていた。人気を落としている実績馬には要注意。
[枠順]昨年は過去10年で連対がなかった6枠のケイアイノーテックが勝って、勝鞍のない枠は1枠のみ。その1枠も2着と3着が2回ずつあって、馬券圏内という括りではどの枠も満遍なく好走馬が出ている。
馬番別では「13」が2勝、2着1回、「17」は勝利こそないが、2着が3回、3着が1回。馬券絡みが1回もないのは「15」のみ。16年は過去10年で1度も馬券絡みがなかった「16」のアエロリットが勝ち、「6」のボンセルヴィーソが3着に入って、ゼロの空白が年々減ってきている。
[脚質]過去10年で逃げ切り勝ちは3頭いるが、いずれも1番人気。長い直線と坂がある東京のマイルを逃げ切るには相応の底力要求される。一方で4角10番手以下からの差し切りも3頭。こちらは6番人気以下が6頭絡んでいて、波乱の使者となっている。前半のペースを読みながら、腹をくくった追い込み馬には注意を払いたい。
1番人気は怪しい!?
過去10年で1番人気は5勝しているが、2~3着は1度もなく、まさしく『ピンパー』の成績。思い切った人気薄からも狙えるレースで、2ケタ人気の2勝、2着2回、3着4回は穴党にとって見逃せない数字。特に3着馬は7頭が6番人気以下で、4頭が2ケタ人気。ヒモ穴の激走には要注意だ。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 5-0-0-5 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
2番人気 | 1-3-1-5 | 10.0% | 40.0% | 50.0% |
3番人気 | 1-1-1-7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 0-1-1-8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 0-2-0-8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 1-1-3-35 | 2.5% | 5.0% | 12.5% |
10番人気~ | 2-2-4-82 | 2.2% | 4.4% | 8.9% |
関東馬に厚い壁
過去10年で関西馬が7勝しているが、2着は関東馬が6頭。3着は関西馬が7頭と、着別度数でいえば関西馬が優勢。ただし、出走頭数が関西馬の方が多く、連対率、複勝率はほぼ互角。連対率はわずかに関東馬がリードしている。
ジョッキーも数字の上では西優勢となっているが、近年は美浦所属のジョッキーも意地を見せており、連対率、複勝率には大きな差がない。
[キャリア]キャリア2戦と10戦以上の馬は第1回から遡っても馬券絡みがゼロ。勝ち馬はキャリア3~9戦が満遍なく好走馬を送り出していて、サンプルは少ないが、キャリア3戦の馬が(1.2.1.4)とハイアベレージを叩き出している。登録馬の中ではシンザン記念を勝ったヴァルディゼールとファルコンS2着のグルーヴィットがキャリア3戦で大舞台に挑む。
[乗り替わり]乗り替わりが多いレースだが、その結果は決して芳しいものとはいえない。ただし、昨年はいずれもテン乗りのコンビがワン・ツー・スリーと馬券圏内を独占。余談だが13年以降の奇数年は乗り替わりのコンビが全て馬券圏外で、前走と同じコンビが1~3着を独占している。また、乗り替わりで3着以内に入った11頭のうち9頭が関西馬で、その多くが人気薄。これに該当する馬はほんの少し押さえておいていいかもしれない。
[当該コースの騎手成績]2014年以降、東京芝1600mで最も多くの勝鞍を挙げているのはC.ルメール騎手の38勝で、2位は戸崎騎手の37勝。C.ルメール騎手は昨年秋の開催で大きく勝鞍を上積みした。この2人が大きく抜け出していて、以下、横山典騎手21勝、北村宏騎手19勝、内田博、蛯名騎手18勝、三浦騎手17勝、M.デムーロ騎手16勝と続き、栗東所属ジョッキーでは福永騎手が13勝、武豊騎手が10勝を挙げている。
[馬体重]昨年は456キロのケイアイノーテックが勝って、これが過去10年で最も小柄な勝ち馬。2着馬は5頭が500キロ以上の馬格に恵まれた馬で、完成途上の3歳春に行われる一戦だが、馬力、底力も要求される舞台とあって、連対馬は比較的大きな馬が多い。しかし、3着に関しては比較的軽量の馬が多く来ていて、なぜか500キロを超えている馬が1頭も出ていない。
[種牡馬]複数の勝ち馬を送り出している種牡馬はディープインパクト、クロフネ、ダイワメジャーの3頭。連対馬にはヨハネスブルグ、マツリダゴッホ産駒といった渋い名前も見える。2勝を挙げているディープインパクト、クロフネは勝率、連対率が高く、ダイワメジャーも3着が2回と複勝率は3頭ほぼ互角。やはりこのレースと好相性を示しているといえるだろう。