一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
サウジアラビアRCはケッツァーに騎乗
2021/10/7(木)
先週は初めて乗せていただいたコスモアンジュ(12人気2着)が頑張ってくれました。とても素直で乗りやすい馬で、すんなりハナに行けたのが好走の要因だったと思います。これまでは周りにもっと速い馬がいて、被されて嫌気をさすようなところもあったそう。ただ、枠順やペース然り、あそこまで上手くいったら勝ちたかったというのが本音です。ヒメゴゼン(7人気6着)は一生懸命に走ってくれました。惜しむらくはもう少し枠が内目で脚をタメられていれば結果も違っていたはず。着順ほど内容は悪くないので、近いうちに勝ち上がれると思っています。
開幕週の土曜は東京で9鞍に騎乗します。サウジアラビアRCのケッツァーは1週前にしっかりと負荷をかけて、今週はその効果で凄く反応が良かった。状態は申し分ありません。前走に自分は乗っていませんが終始追っ付けどおしで、イメージからは敗因を掴みかねるところ。広いコースで距離が延びて競馬もしやすくなりそうですし、重賞でメンバーが強くなるといえ楽しみにしています。1Rのチアアップは初ダートの前走内容が悪くなかった。乗り味などがいい馬なので、条件もかみ合いそうなここはもう一歩の前進を見込んでいます。
3Rのミズノコキュウの前走はスタートにも進境があって好内容。この中間で少し気になるのは、3戦目で気持ちが入りすぎてしまっている感じがあるんです。返し馬からゲートまででなだめて、上手くエスコートしてあげたい。5R(2歳新馬)のコスモテンペスタは気持ちが前向きで一生懸命。ただ、馬体面が成長途上な感じもあるので、使いながらしっかりしていくタイプかもしれません。12Rのソスピタは休み明けでもしっかり追い切りをこなしてきました。素直で大人しいのはいいのですが、ここのところ競馬でピリッとしないところもあるので、ゲート裏でメンコを外して臨む予定。これでいい頃の反応が戻ってくれれば差はないと思います。
日曜も東京で4鞍に騎乗します。2Rのアニージョは2週続けて追い切りに乗せていただきました。初戦は芝で8着でしたがダートは向きそうで、いい動きをしています。大きく変われるタイミングではないでしょうか。3Rのヴァンデストは2戦目で内容が良くなっていました。先週追い切りに乗せていただきましたが、思った以上にテンションが抑えられていていい雰囲気。もう一歩前進に期待しています。7Rのスウィートブルームは中間にモタれるようなところがあったので、工夫をしながらの秋緒戦になります。具体的には片方だけブリンカーを着けて、今週の追い切りでは効果覿面でした。しっかり乗り込んできましたし、1勝クラスなら力が違うというところを見せてほしい。
今週の休日は映画館で連闘。平日で空いていたこともあり、007 ノー・タイム・トゥ・ダイとマスカレード・ナイトを続けて観てしまいました。007はずっと観ているシリーズで、コロナの影響で上映が延びましたが楽しみにしていたんです。今回で完結と言われていますが、充実の作品であっという間の2時間40分。マスカレードは前作が良くて期待しすぎてしまったせいか、自分的には中盤のだるみが気になりました。ともあれ、ど真ん中に座れての貸し切り状態で妻といい時間を過ごせました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。