エアハリファ、重賞チャレンジ3戦目で根岸Sを快勝!! 

エアハリファ

15年2月1日(日)1回東京2日目11R 第29回根岸S(G3)(ダ1400m)

エアハリファ
(牡6、栗東・角居厩舎)
父:Discreet Cat
母:Chez La Femme
母父:Afternoon Deelites

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2コーナーの先には、青空に富士山がクッキリと見える。風はかなり冷たい武蔵野の地である。週末に降った雪がコースのあちこちに残る東京競馬場。フェブラリーSへのステップレースのここであるが、直線で馬群の中から伸びてきたのは1番人気の支持、エアハリファだった。先に先頭に立ったアドマイヤロイヤルを弾きとばす様な勢いで伸びていく。外からワイドバッハが追いこんで来てはいたがとても交せる脚色ではなく、早々と勝利を確信できるもの。昨暮れの武蔵野Sでの借りを返して、いい勢いでフェブラーSへと迎えるものであろう…。


とてもパドックで長く馬を観ていられない。寒すぎるのである。陽のあたる方でないだけに、余計に風を感じる。早々に引き揚げて、いつもの場所で入場から返し馬を観る。パドックでジックリと馬を観るのも大事であろう。だがむしろ、最近では返し馬が全てを優先すると思う。いくらパドックでよく見える馬でも、走らせてみると全然だなんて事がよくある。と、いうか気がつく。ダクからキャンターに移る瞬間に、サラブレットがかもしだす流線型。これが実に好調を現すラインかと思う。そこでの印象のいい馬が好走するケースを何度も経験する。
富士山の方へと走り去っていくエアハリファのフォームが、実にいい。ワイドバッハがその後を走って行ったが、断然の違いがある。エアハリファが良すぎると感じる。前売りオッズが目まぐるしく変わる。土曜の売り出しの当初はワイドバッハが1番人気だったが、土曜夕刻、日曜の朝はロゴタイプが1番人気の支持。しかし競馬ファンは見逃さない。だんだんとエアハリファの1番人気支持が固まっていった。

パドックから返し馬を観ていて、展開のカギを握るサトノプリンシパルが意外と良く見えないのにガッカリする。冬毛も出てきているし、何よりも背が垂れるという体型が目立つ。もっとガツンとした感じで出てくると思っていただけに、案外な気持ちで観ていた。
絶対に行くと宣言していたポアゾンブラックが、スタートで躓いた様だ。場内アナウンスで知る。サトノタイガーがいいスタート。エアハリファもいい。内からキクノストームが行くんだと思うと、間もなくスルスルとグレープブランデーが先手となる。レーザーバレットも前へと出てきた。エアハリファはあまり行く気がないのか、前の位置にはいない。我がワイドバッハはジワっとした競馬で、後ろにはシルクフォーチュンしかいない。このレースも、やっぱり速い流れにはなっていない。

3角を過ぎて、淡々と流れている。エアハリファは、気が付けばワイドバッハの少し前ぐらいの内目。後ろのゴールスキーがやや掛かり気味だ。後ろではシルクフォーチュンが頭をあげている。
4角に近づく。ロゴタイプが前から3列目ぐらいの馬群の中にいる。初ダートながら、ここまでまったく悪くない行きっぷりである。キョウワダッフィーがその外だ。
直線に入る時にサトノタイガーが外から先頭気味となるが、馬体が真っ直ぐに向いていない感じで、やや外へもたれているのか。

直線のラスト300M、外目からレーザーバレット、その内からロゴタイプと先頭を奪う勢いで出てきそうだ。しかしまだ内でグレープブランデーが先頭で粘っている。後ろを見やる。ワイドバッハが一番外へとスムーズに出せない。外のシルクフォーチュンが壁となっている。その内から前へと差を詰めだす。そのはるか前では、エアハリファがアドマイヤロイヤルと一緒に伸び出す。むしろ先に出ているのはアドマイヤロイヤルだ。その内からエアハリファがグングンと伸び出す。しかしアドマイヤロイヤルももう一度、盛り返し気味だ。その2頭の凌ぎ合いの外へ、ワイドバッハがやっと伸び出してきた。

後でPVを観ると、エアハリファとアドマイヤロイヤの叩き合いは、エアハリファが真っ直ぐに伸びているのに、アドマイヤロイヤルの方がフラつき気味に見えた。何度も喰いさがろうとするアドマイヤロイヤルだが、エアハリファの勢いが凄くて、弾き飛ばすかの様であった。ゴールスキーが外から伸びて4着。キョウワダッフィーが、狭い処からゴール前だけでいい伸びを見せて5着。ロゴタイプは8着での入線であった。
あの返し馬の感じを観ると、エアハリファの勝利も仕方ないのかと思える勢いを感じるものだった。ワイドバッハは、武豊Jが《ちょっと反応が悪かった。この次の方がもっと良くなりそうだし、今ならマイルの方がいいだろう…》と言いながら検量室へと入って行った。

1番人気が勝ち、2番人気が2着。一般ファンの眼力の凄さである。3着がアドマイヤロイヤルの頑張りだった。8歳馬ながら、中間のケイコがビシビシ。東京コースもいいのだろう。
エアハリファは、全てがダート戦の18戦目での重賞初勝利。重賞挑戦は昨年の春のアンタレスSが初めてで、前走の武蔵野Sがワイドバッハの2着。3度目の挑戦で、重賞を射止めた。
鞍上、三浦Jとはこれで6戦3勝。今回の彼の乗り方を観ていると、貯めた方がいい脚を使うと手の内に入れた模様である。またまた個性派の馬が出てきたのであろう…か。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。