8度目の挑戦 シャトーブランシュがついに重賞勝ち!!

シャトーブランシュ

15年6月14日(日)3回阪神4日目11R 第20回マーメイドS(G3)(芝2000m)

シャトーブランシュ
(牝5、栗東・高橋厩舎)
父:キングヘイロー
母:ブランシェリー
母父:トニービン

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毎年、このレースはひと筋縄ではいかないレースと認識している。この時期のオープンのハンデ戦。軽量馬の活躍が毎年みられるレースでもある。
今年はオープン馬7頭。準オープンから9頭。例年だともうひとつ下の1000万下からのチャレンジもあるのだが、今年は除外の憂き目。レベルの高さが実感できる戦いとなった。
関東馬のマリアライトが1番人気。重賞初挑戦ながら、53キロのハンデと上昇度で多くのファンの支持を受けた。前半はジワっと行って中団の後ろ、3角過ぎてあがっていき、4角では先行した4頭に並ぶ。ラスト1ハロン過ぎて内で粘るウインプリメーラを捕えて勝ったかと思えた瞬間に、大外からの猛追を受けた。勝ったシャトーブランシュは道中では後方の内を進み、4角を廻りきってから外へ持ちだして、一気の脚を使っての戴冠となった。


関東から5頭。藤沢和厩舎バウンスシャッセ。鞍上にミルコ・デムーロJを迎えた。前走はG1ヴィクトリア・マイルだけに、敗戦も仕方なしか。フィロパトールレッドセシリアでは苦戦か。グレイスフラワーも、ここ3戦は重賞挑戦が続いた。そしてマリアライト。蛯名Jで3勝。特にこの2戦の内容がなかなかいい。小柄なディープインパクト産駒で、切れは抜群。母系にエルコンドルパサーだけに、鞍上の意味合いがよく判る。重賞初挑戦で初勝利となるか。迎え撃つ関西馬は前走、福島牝馬Sで2着ながら降級で条件から挑戦のリラヴァティ。3歳馬アースライズ。オークス4着馬がこの49キロは魅力だ。1枠にイリュミナンスにシャトーブランシュと、穴党にはたまらない2頭の内枠だろう。

スタートから出て行ったのは、リラヴァテイ。外からウインプリメーラも前へと出てきて2番手。フィロパトロールが内の3番手。アースライズと続く。マリアライトは真ん中より後ろめで、同じ勝負服のバウンスシャッセとほとんど同じ位置で2角へと入っていく。3,4番手のアースライズがやや掛かり気味に見えた。
向こう正面に入って、リラヴァティの逃げは1000m通過が1.01.5とユッタリである。マリアライトが少しだけ前に出だす。そのまま上がって行くのかと思えたのだが、そのままの位置で通過していく。
3角過ぎてペースが上がっていく。ラスト800mを過ぎて、それまでの静から動になる。どの馬の手綱も張っている。マリアライトが少しずつ順位を上げていき、4角では並びだした先行馬4頭の外へ。後方のイリュミナンス、シャトーブランシュは内ラチ沿いを進んでいるが、シャトーブランシュがしっかりと追いだして、手綱がしごかれている。

4角で外に並ばれたリラヴァティは脚もなくなり、直線で先頭にはウインプリメーラが立つ。それを追いかける様に、マリアライトがゴリゴリと押して迫っていく。ラスト200mを切ってもまだまだ粘るウインプリメーラ。マリアライトが並びかげんの勢いとなる。と、その瞬間に、外から2頭が迫ってきた。パワースポットとシャトーブランシュである。外のシャトーブランシュの一歩のスライドが大きく、あっと言う間に一番先頭へと躍り出ていった。ゴール前は、もう流し気味の手応えで1馬身近い差をつけた。

マリアライトが何とか2着で、3着に頭差でパワースポット。4着にウインプリメーラ。逃げたリラヴァティは8着。アースライズがその後へと続く。バウンスシャッセは直線で窮屈なシーンもあったが、この着順とは正直なところガッカリな成績。
シャトーブランシュは、3歳秋にローズSデニムアンドルビーの2着した馬である。その後も重賞挑戦は続くが、牝馬限定戦ではそんなに負けていない。1000万勝ち後は1600万で勝ち星を上乗せしないで、オープンでの初勝利が初重賞となった。
22戦で、鞍上に15人のジョッキーを迎えた。キングヘイロー産駒でこの時期の勝利、思わず夏場にいい血統なのかも知れないと懐かしんだ…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。