リスグラシュー、早めの仕掛けで着差以上の完勝だった!

リスグラシュー

16年10/29(土)4回東京8日目11R 第5回アルテミスS(G3)(芝1400m)

  • リスグラシュー
  • (牝2、栗東・矢作厩舎)
  • 父:ハーツクライ
  • 母:リリサイド
  • 母父:American Post

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関西から5頭の参戦。その中でも1番人気の支持を受けたのが、前走の未勝利戦を2歳戦レコードで快勝の矢作厩舎のリスグラシュー。外枠から早めに好位に進出。直線でも先に先頭に出る仕掛け。ワンタイミング遅れて馬群の中から出てきたフローレスマジックの猛追を、半馬身退けての勝利。直線の1ハロンでは、内へササる格好を見せるなどまだまだ若さを覗かせるリスグラシュー。次なるステージへと資格は獲った…。

東京競馬場のパドック。見守る中にサトノのオーナー、里見治さんの姿も見えた。数少ない2勝馬のサトノアリシアは、周回しているが顔つきがまだ子供っぽい。レースでも掛かり気味で、折り合いに苦労をしていた様子。だがスワンSではワンツーを決めて今、旬のオーナーでもある。リスグラシューはゲート入りする前の輪乗りでやや興奮気味。他の馬と離れているがせわしなく動き廻ってちと不安を感じるものだった。幸い、ゲート入りはスムーズだったし出も普通に出ていた。ただ後でPVで見ると出て2完歩ぐらい行ったあたりで外、右へとヨレていた。内にやや折り合いを欠くサトノアリシアがいて《嫌だな~》と思っていたら、まるで聞こえたかの様にそのサトノアリシアの前へと出て順位を上げていってくれた。

ツヅクが造った流れは、前半3Fが36.3と予測どおりの遅いもので、上がり勝負は見え見え。切れ味はあるが、先に行っている馬を差せないのだけはごめんと思っていただけに、順位を上げる乗り方はまさしく理にかなったもの。そして4角を廻っても、早めに進出をしていく。ただ、好位の馬の中でルメール騎乗のフローレスマジックが多少の行きたがるところはあったものの、手応え良く行けているのが判っていただけに、直線でどれだけの末脚を使うか、ちと脅威に思えていたもの。そして前の馬を交わして逃げこまんとしているラスト200m過ぎ、やっぱり外へ出して追ってきたフローレスマジック。ジワジワと迫ってきた。でもゴールまでの残された距離を見て、何とか凌ぎきったと確認できてひと安心。半馬身ながら、危なげない勝ち方が出来たのかと思えた。

即、下へ降りたら矢作師が地下馬道で馬を待っていた。『ルメールの馬が怖いと思っていたけど、やっぱり伸びてきていたね…』と握手しながら語っていた。やれやれの表情で、まずは予定していたレースを確保してひと仕事を終えたホースマンの顔であった。こちらとしても、まずは狙った重賞を勝つという最低限かつ最大な仕事ができてホッとした気持ちでいっぱいであった。
《優美な百合》が、まずは小さく一輪の花を咲かせた。そんな1勝だろう…か。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。