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この馬に注目【フェブラリーS】テスタマッタ
2010/2/16(火)
クリエイティブな意味合いでクレイジー(イタリア語、同名のトスカーナ産ワインも有名)との競走馬名を持つテスタマッタ(牡4)。管理する村山明調教師に、同馬の性格を訊ねると、
「天才肌で、精神的にピリピリしやすい面は課題。ただし、手順を踏んできちんと調教すれば、納得してくれる賢さもありますよ」
との答え。超豪華メンバーが集結するフェブラリーSでも、大観衆に「クレイジー」とため息をつかせそうなムードを漂わせている。
「バレッツ・マーチセールの取引馬で、2歳の7月、ノーザンファーム早来に到着。まだ技術調教師だったころ(村山師はまだ開業2年目)に3週間、現地で研修させてもらい、実際に跨りましたし、世話もしたんです。当時よりかなりのスケールを感じていましたね」
一昨年、北米の新種牡馬チャンピオンおよび2歳リーディングサイアーに輝いたタピットの初年度産駒。落札額は6万ドル(約600万円)と、比較的リーズナブルな価格だった。同セールでは、全日本2歳優駿やJBCスプリントの覇者であり、今回はともに頂上決戦に挑むスーニも取り引きされたのだが、こちらは12万ドルの値が付いている。
両馬が上場された際の調教ビデオを見直すと、走りはまったく対照的。リズミカルなフットワークですっと加速するスーニに対し、テスタマッタはいかにも粗削り。跳びが大きく、コーナーを曲がり切れないほど(1ハロン10秒6を計時)。
「脚が長いうえ、とても柔らかい。そんな特徴から、ダートで才能が花開くなんて、とても想像できなかった」
と、村山師が見立てたのも無理はない。
昨年10月、京都の芝1600mで新馬勝ち。村山厩舎に記念すべき初勝利をもたらした。しかし、折り合いに難しさが残り、その後は4連敗。ここで陣営はダートに目を向ける。
「アメリカの育成だけに、走り慣れた左回りのダートで変わってほしいと思ったんです。ダービーを夢見た馬が、当日の東京(ダート1400m)でようやく2勝目。ただし、期待以上の内容でしたし、あの一戦がその後につながりました」
師を含め、誰もが末脚に目を疑った。古馬の実力馬が相手となった出石特別も、鮮やかな直線一気。そして、勢いに乗ってジャパンダートダービーに挑み、GⅠの勲章を手中にする。
「短距離の追い込み策には自信を深めていましたが、2000mとなれば不安材料がたくさん。向正面をゴールだと勘違いしないか、案じていましたね。それが最後までしっかり走り切り、タイム(2分4秒5)もカネヒキリが勝った08年東京大賞典と一緒。これは底知れない馬だと、改めて感心させられましたよ」
武蔵野Sは、過酷な斤量(GⅠ優勝馬のために3キロ増)もあって11着。ただし、続く浦和記念(3着)で、伸び悩んだ理由がはっきりした。呼吸音に違和があったために検査をしたところ、「喉頭蓋エントラップメント」(喉頭のヒダが包み込むかたちで気道を塞ぎ、呼吸を妨げる症状)との診断。早速、社台ホースクリニックにて、手術を受けることとなった。
過去にはシーキングザパールやリンカーンなども発症しためずらしい病気であるが、喉頭片麻痺(喘鳴症と呼ばれる一般的なノド鳴り)とは違い、手術(30分程度で済み、体への負担は少ない)をすれば簡単に完治する。
川崎記念(3着)もあと一歩に終わったものの、
「レース間隔が開いたうえ、淋しくなった体を戻しながらの調整でした。この中間は順調そのものですし、上積みは大きい」
とのこと。トレーニングセール出身でも、決して早熟ではない。
「いまだに緩い感じの乗り心地でありながら、あれだけの走りを見せてきた馬です。気性面も若々しい。まだまだ伸びるでしょう」
まれに見る高レベルを誇る4歳勢にあっても、その個性は異彩を放ち、いずれはダート界を牽引できる素材。虎視眈々と、大舞台での逆転を狙っている。
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