これぞ王者オジュウチョウサン「最後に並ばれてからもギアを上げてくれた」

オジュウチョウサン

●4月15日(土) 3回中山7日目11R 第19回中山グランドJ(JG1)(芝4250m)

焦点は昨年のこのレースから重賞5連勝中のオジュウチョウサン(牡6、美浦・和田郎厩舎)を止める馬が現れるかだったが、終わってみれば揺るぎない絶対王者の力でライバルを圧倒。堂々と6連勝で障害G1・3連覇を達成した。

レース序盤は4番手を進み、大池垣で3番手にポジションをアップ。逃げるメイショウヒデタダ、2番手に付けるアップトゥデイトを唸るような手応えでマークする。もちろん、飛越も全く危なげなく、まさに馬の行く気のままスーッと最終コーナーで先頭へ。外からサンレイデュークが仕掛けて並びかけてくるが、鞍上の石神深一騎手は手綱を持ったまま。最後の障害をクリアするとジワジワとリードを広げ、ほとんど追うところなしの完勝。ため息が出るような強さだった。

石神騎手は「タイセイドリームにフタをされそうだったので、押し上げたときに少しハミを噛みました。道中はロスなく回れましたし、飛越も上手く飛べたので最後に並ばれてからもギアを上げてくれました。いつも人気になりますが、本当に強い馬です」と落ち着いた表情でレースを振り返ったが、ひとつひとつの勝利が人馬を逞しく成長させている。

平地のキャリアはわずか2戦で未勝利。そこから1年の休養を経て障害入りし、初戦は勝ち馬から13.7秒離されたシンガリ負けを喫している。そんな馬がジャンプ界の頂点にまで上り詰め、今や絶対王者として君臨するのだから、この世界は本当に奥が深い。年齢的にもキャリア的にも前途は洋々。障害馬で唯一殿堂入りを果たしているグランドマーチスは障害戦で39戦19勝。中山大障害を4勝しているが、その偉大な名馬にどこまで近付けるのか。ぜひとも歴史的瞬間に立ち会ってみたいものだ。

オジュウチョウサン
オジュウチョウサン
オジュウチョウサン

管理する和田正一郎調教師はこの勝利がJRA通算100勝目となった

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