アドマイヤリードをG1制覇へ導いたルメール「4角で勝つ自信ありました」

アドマイヤリード

●5月14日(日) 第12回ヴィクトリアマイル(G1)(芝1600m)

土曜にしとしとと降り続いた雨。雨上がりの東京競馬場の長い直線、わずかな隙間から突き抜けたアドマイヤリード(牝4、栗東・須貝尚厩舎)が春のマイル女王に輝いた。

アドマイヤリードは3枠5番から五分のスタートを切ると、ポジション争いには参加せず、馬なりで後方からの競馬をチョイス。「今日の馬場に求められた事はリラックスして走らせる事です」と、メインレースまで2勝2着5回の抜群の成績を挙げていたルメール騎手は完全に馬場を攻略していた様子。

「クイーンズリングを見る形でちょうどいいポジションが取れました。ペースも速くなくてよかったです。4コーナーで勝てると自信を持っていました」と振り返るように、逃げたソルヴェイグが作り出した前半はゆったりとしたラップ。4角までは後方5,6番手でレースを進めるも、馬場の良いところを目掛けて各馬が外へ膨らんだタイミングで、内に進路を向けて直線を迎える。

「直線はギリギリまで待ちました。前にクイーンズリングがいたのですが、アドマイヤリードの道が出来たので、そこを狙いました」と話すその隙間は、前を行くソルヴェイグとスマートレイアーの間に出来た、わずかに1頭が通れるだけのスペース。鞍上は迷わずそこに飛び込んだ。

「彼女は瞬発力があるけど、その使える脚は一瞬だけです」と今回が3度目のコンビで既に手の内に入れたレース運び。残り100m付近で先頭に立つと、猛追する後続を振り切り、重賞初制覇をG1の舞台で成し遂げた。

2週に渡って追切に跨りアドマイヤリード、そして、厩舎スタッフとコンタクト。調教の時点で勝てる自信があったと話す。前走、前々走は重馬場で上がり最速を繰り出した。420キロ前後の馬体に重馬場の適性が高いと感じていたようだ。

アドマイヤリード

今後は馬の状態を見ながら、との事だが、牝馬限定戦には出走の意欲を見せる陣営。小さな体で500キロを超す馬たちをなぎ倒して行く。そんなヴィクトリーロードに今後も期待を膨らませる勝利となった。

また、今日でJRA通算600勝を決めたルメール騎手は「まだまだ的場(文男)さんには届かない」と冗談を交えながらも地方通算7000勝に迫っている日本競馬の生けるレジェンドを称賛。「大きな目標というのはありませんが、1戦1戦大事に乗りたいです。競走馬にはオーナーや厩舎スタッフや調教師それぞれの想いが詰まっています。その想いにしっかりと応えて、勝ちたいです」と熱く語り、今後の活躍を誓った。

アドマイヤリード
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▲G1制覇に加え、同日にJRA通算600勝を記録したルメール騎手

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▲近藤利一オーナーは08年にアドマイヤジュピタで制した天皇賞春以来となる中央G1制覇。