弾むように飛んできた!シャイニングレイが外から差した!!【平林雅芳の目】

シャイニングレイ

17年7/2(日)3回中京2日目11R 第53回CBC賞(G3)(芝1200m)

  • シャイニングレイ
  • (牡5、栗東・高野厩舎)
  • 父:ディープインパクト
  • 母:シェルズレイ
  • 母父:クロフネ

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ついに我慢しきれなくなった空から雨が落ちてきた中京競馬場。雷も遠くで鳴っている。何やら暗雲がたちこめているかの雰囲気で、波乱の予感もする。
アクティブミノルが、宣言どおりの先手で1馬身出る。その2番手を、ラインスピリットとセカンドテーブルがキープして行く。ダートも芝も先行有利、内有利の傾向が続く。4角を廻っても、後続馬が一向に差を詰められないまま、ラスト400を過ぎた。前を行くアクティブミノルを交わすのは、セカンドテーブルただ1頭。満を持して交わして先頭に立って行く。後続は来ないなと思った瞬間、一気に差を詰め、ゴールに入る瞬間に並んだのがシャイニングレイ。スローで見ると、僅かにハナだけ前に出ていたゴールだった。

ふとゲートに入る前に、「ミルコはどの馬に乗っていたかな~」と思って専門紙を見る。「エエッ!」、乗っていないのを初めて知った。乗り馬がいなかったのか、何があったんだろうと思っている間にゲート入りが終わり、ゲートが開いた!
稽古からブリンカーを着用のアクティブミノル。だからこその好タイムだったのかとは思ったが、今日は行くとのこと。それならいい結果が出るだろうと、昨日からの芝の傾向からも前が有利だけに、先手はいいことと見ていた。そのアクティブミノル。出そのものは速くなかったが、左ステッキを1発、2発、3発と入れて前へ出て行く。ラインスピリット、セカンドテーブルがすぐに2,3番手の外へ付いていける。1ハロンも行くか行かないうちに、ラインスピリットが下がって馬群に吸収されてしまう。

外からメイソンジュニアが上がってきて、セカンドテーブルの外目に並んだのが2ハロン手前。内でオウノミチとオメガヴェンデッタが続く。その2番手だけが数頭並ぶがその後はバラバラで、最後方のトウショウドラフタまではけっこうな縦長だ。
トーセンビクトリーがブービーで、その前がシャイニングレイ。そしてスノードラゴンがいて、その前にティーハーフ、メラグラーナ、タイムトリップと並び加減の位置。それほど滅茶苦茶速いというわけでもない。
3Fを過ぎるあたりではセカンドテーブルが単騎の2番手で、前を行くアクティブミノルとの差は1馬身と少しぐらい。アクティブミノルは誰にも絡まれずに理想的な逃げを打てている。4コーナー手前あたりでは、シャイニングレイが後ろから前の馬群の外へいい感じで上がって行く。

直線に入って全体像が見えだした。やはり馬場がまだまだ悪くなく、内を狙うアクティブミノル。セカンドテーブルが馬のクビを外へ向けて、少しだけ外へと出した。後続ではティーハーフだけが内を選択したが、その他の後ろの馬はそのまま外へと向けた。
ラスト200。まだ先頭はアクティブミノルだが、セカンドテーブルだけが追いつきそうで、その後ろの馬の脚色では勝るものがいない。セカンドテーブルがアクティブミノルに並び交わして行く。内からティーハーフもだいぶ前へと接近してきているが、一番前へは届く様子ではない。

その時に、馬群の外をシャイニングレイが北村友Jの左ステッキに呼応してグイグイと伸びだしたが、それでも、前の2頭とはまだ差があり過ぎる。
アクティブミノルと並びながら、最後のひと伸びとばかりに、セカンドテーブルを右ステッキで促す水口J。そこへ左ステッキの乱舞とともに襲いかかってきたのが、シャイニングレイ。良くぞ、あの位置から届いたと思えるもの。完全に勢いでは外のシャイニングレイだが、内のセカンドテーブルも粘り強く伸びている。何とも言えない、どちらかな~と思っているうちに、スローの画面が再生される。外のシャイニングレイが、鼻差だけ前に出ていた。

PVを見る。シャイニングレイ、後ろの方にいながら馬が納得してないのか、行きたがる様子を見せている。3コーナーを過ぎてから、鞍上はもう馬の行く気にさせたかの感じだ。ただ短距離だけにグーンと上がっていく訳ではない。ジワっと少しずつ前掛りになっていったものだろう。直線ラスト200でも、まだ3列目に並ぶぐらいの位置。ラスト100を切るあたりで、やっと前の2頭の傍まで近づく。が、そこからの伸びが違っていた。馬そのものの闘争心が凄く強い馬なんであろう。負けず嫌いの馬ではなかろうかと思えるほどの勢い。
メラグラーナは多少窮屈なところもあったが、その前に脚色に余裕がなかった。高松宮記念といい今回といい、メラグラーナはあの1000万下をここで勝った時の弾ける様な強さを出した時と別な馬かの内容である。ここらが難しい、なんでこうなるのかであろう。

2年の休養からダートの仁川S、そして福島民報杯では先行しての競馬だったが、結果を出せず。このまま終わってしまったのかと思いきや、短距離路線に替えてからのこの結果である。 脚元との相談だろうが、ひとつの路線を確立したシャイニングレイ。今後も出てくる毎に注目されて当然であろう。
そして鞍上の北村友J。函館のスプリントSを、ジューヌエコールで軽量の50キロだったはとは言え、完勝。そして今回と、もうサマースプリント路線では2勝と完全優勝をしそうな勢いである。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。