【天皇賞(秋)】これぞ王者・武豊「今日は強いキタサンブラックをお見せできた」

キタサンブラック

●10月29日(日) 4回東京9日目11R 天皇賞(秋)(G1)(芝2000m)

スタートでヒヤリも、終わってみれば“これぞ王者”。道中ロスなく立ち回り、4コーナーでポッカリと空いたインを突いて堂々と先頭。キタサンブラック(牡5、栗東・清水久厩舎)が宝塚記念のリベンジを果たして、見事に史上5頭目となる天皇賞春秋制覇を達成した。

スタートには定評がある人馬がまさかの出遅れ。しかし、そこは百戦錬磨の名手・武豊騎手。「ハラハラさせて、すみませんでした。出遅れました。馬が気持ちが入りすぎていたので、ちょっとマズイなと思ったんですけど、扉に突進して下がったときに開いてしまいました。でもそこから組み立てなければいけないので、あとは普通に乗れました。ああいうスタートだったので、それに対処するしかないですから。競馬は必ず前とは決めていなかったので、出てから状況を見てと思っていました。こういう馬場でもこなしてくれるという自信もありましたし、あそこから外はロスがあるなと思ったので、内に懸けました」と落ち着いてインのポケットからレースを進める。

前半の1000mは64秒2。道悪を苦にしないキタサンブラックはいつの間にやら5~6番手までポジションを上げ、直線入口では荒れた内側を嫌った各馬が外へ進路とったため瞬く間に先頭。大歓声と雨に煙る府中の直線を一気に抜け出す。「いつもと違うスタートだったので、それならそれでレースをしようと思いました。道中、内を走っていてもそれほど苦にしなかったので、腹をくくって4角で内を突こうと思いました。(内を突くのは勇気のいることだと思うが?という質問に)負けたら馬場のせいにしようと思っていました(笑)。反応が良すぎてあっさり先頭に立ってしまったので、少し馬が戸惑うところもあったんですけど、やはり力のある馬なので押し切ってくれました。サトノクラウンの足音は聞こえていたんですが、押し切れると思いました」と鞍上も自信のゴーサイン。懸命に食い下がるサトノクラウンをねじ伏せてゴールへ飛び込んだ。

この中間には、年内で引退、種牡馬入りすることが発表され、残るレースはこの天皇賞、ジャパンC、そして有馬記念の3戦。春同様、G1にぶっつけへの始動となったが、まずは第一関門をクリアした。「本当に強い馬に乗せてもらって、結果を出さなければいけないと思っていたので、本当にホッとしました。この馬にとってラストシーズンなので、その手綱を任されているという責任を感じて騎乗しますので、まず初戦で結果を出せて本当に良かったです。今日は強いキタサンブラックをお見せすることができて本当によかったです。(史上初となるJRAのG1・8勝目へ向けて)あと2戦、勝ち続けたいと思います」と締めくくった武豊騎手。これで通算獲得賞金額はテイエムオペラオーに次ぐ2位に浮上。3連勝すれば歴代トップとなる。ラスト2戦をしっかりと瞼に刻みつけたい。

キタサンブラック
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