リーディング独走のルメール騎手に有力馬が集まる理由…こちら検量室前派出所(仮)

東京競馬場

10月28、29日の東京競馬も冷たい雨の中で行われた

このところ毎週末に雨が降る東京競馬場。2週連続台風接近の影響で、先週末も大雨。肌寒く、パトロール隊員はまた場内のうどん屋と検量室前のシャトルランを余儀なくされた。うどん1杯420円で大盛サービス無料という店の温かさが冷たくなった体にしみる。

そんな寒い土曜日(10月28日)に大活躍だったのがクリストフ・ルメール騎手だ。1日7勝の固め打ちで、2位の戸崎騎手に8勝差をつけて、リーディングを独走している。レース後も身振り手振りを交えてコメントしてくれるナイスガイでもある。

「強い!」

興奮しながら周りのジョッキーに話しかける姿が見られたのは、土曜の最終12レース・3歳上500万下が終わった直後。2着に5馬身差を付けて圧勝したイーグルバローズの強さに興奮したようだった。

表彰式も終わり、調整ルームに引き上げようとするルメール騎手に改めてイーグルバローズの感想を聞くと、「彼は強いね。跳びが大きい馬で、今日は後ろの馬が追走に苦労していたと思う。道中、いいスピードを持続できるのが彼のいいところ。まだGⅠはどうか分からないけど、重賞は行けます」と、かなりの好感触を得たよう。

「今日はリラックスして走れていたね。前走はモレイラさんがスタートから押していったけど、今回はスムーズに行けたんだ。成長していると思うよ。でもまだ2歳?あ、3歳か(笑)、体は大きいし、完成もしていないんだ。気性もまだ子ども。これからの馬だし成長が楽しみ!」と終始笑顔で語ってくれた。

最終レースで他の馬に乗っていたジョッキーたちも口々に「勝ち馬は強い」とコメントしていたように、まだまだ底知れなさのあるイーグルバローズ。来年以降が楽しみな存在だ。

いい馬が集まっているのも事実だが、10R・神無月Sをコロマンデルで制した時、ルメール騎手がこんなことを言っていた。

「前に僕はこの馬の2着に負けた時がありました。あの時のイメージで乗りました」。

前とは、コロマンデルがこの2走前に制した今年5月の日吉特別のことだ。このレースで2着だったレレマーマに騎乗した際、内を突かれて敗れてしまったことが強く印象に残っていたよう。敗戦を無駄にせず、次以降に生かす柔軟性、その記憶力と勉強熱心さが、リーディング1位という結果の原動力になっているのではないか。

最後は明るい声で「また明日!」と言いながら調整ルームへ向かったルメール騎手。その後ろ姿を見送りながら、パトロール隊員はそんなことを考えていた。