ラッキーライラック、桜へいい滑り出し!【平林雅芳の目】

ラッキーライラック

18年3/3(土)1回阪神3日目11R 第25回チューリップ賞(G2)(芝1600m)

  • ラッキーライラック
  • (牝3、栗東・松永幹厩舎)
  • 父:オルフェーヴル
  • 母:ライラックスアンドレース
  • 母父:Flower Alley
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昨暮れの阪神JFの再戦となった桜花賞トライアル、チューリップ賞。2歳女王は逞しさを身にまとい、さらに強くなっていた。当時の2、3着が入れ替わったが差はない。盤石の3番手を進み、本番を見据えた騎乗で試運転をすませたラッキーライラック。このまま無敗での桜花賞の戴冠となりそうだが…。

今日もパドックで馬を見る。検量室前から急いでパドックに戻る。これがこちらにもいい運動となる。
牝馬でも、このクラスになると入れ込む馬が少ない。と言うか、今日はどの馬も静かに周回する。全馬がメンコをしていた。実戦ではどうなのかをチェックできたらと思う。
ラッキーライラックは、数字は増えているが重め感はない。成長なのだろう。マウレアは中2週ながら、輸送もしてきているだけに8キロのマイナスだし、体のシルエットもやや細い。だが許容範囲と受け止める。リリーノーブルも、まずまずかなと見る。やはり上位馬の戦いとみて、後は返し馬へと移動する。

今日は人も多い。馬場入場をいつもの場所では見られず。背中を観る形になる。ほとんどの馬が、すぐに左へとキャンターに移ってしまう。脚の出を観たいのだが、それは無理。後ろ姿で映像で確認をする。大人しい返し馬かと思えた。

レースは座って双眼鏡で観る。ゲートの出が、大外のサラキアがアオった様子だ。ゲートが開く瞬間に上へと飛び上がったのが、PVで判る。驚いたのは、ラッキーライラックがすっと出て前の位置にいることだ。先手かと思えるほどのダッシュ。外のサヤカチャン、内からカレンシリエージョが行って、その3番手につける。前から2、3馬身の絶好位を取る。リリーノーブルがすっと上がってその後ろをキープ、内にマウレアがつく。スカーレットカラーは出遅れはしなかったはずだが、最後方にいた。

レースを通して感じていたのは、ラッキーライラックのポジション。前を観ながらの3番手。その前はいつでも捕らえられる絶好の位置でのレースの進め方。桜花賞での多頭数や枠順の不利があろうとも、それらを消し去る盤石な騎乗の仕方をしたと思えた。
石橋脩騎手は、ラスト200のハロン棒にさしかかるところでゴーサイン。ステッキは4,5発を入れたが、その合間にも見せムチで気を抜かせぬ操作。万全の仕事ぶりであった。

武豊騎手が枠場の中に納まった時にひと言《勝った馬が強すぎるわ~》、そして検量室へ入って行った。
すぐ隣りの1着の枠場に収まったラッキーライラック。何事もなかったかの様な落ち着き。まるで大人の馬、そんな印象だった。

関東にまだ今年の初陣を滑り出していない強力馬がいる。国枝厩舎のアーモンドアイ、木村厩舎のプリモシーンで、両馬ともシルクレーシングの馬であり、戸崎騎手が乗っていた馬。それらがどこから使ってくるのか、関西にいると情報が薄い。それらとのお手合わせは済んでいないが、桜の女王に限りなく近いのはラッキーライラックと言いきって良さそうだ。無敗の桜花賞馬となる可能性が大であるとだけ伝えておこう・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。