ラスト1ハロンで横一線、馬群の中からリバティハイツが伸びた!!【平林雅芳の目】

リバティハイツ

18年3/11(日)1回阪神6日目11R 第52回フィリーズレビュー(G2)(芝1400m)

  • リバティハイツ
  • (牝3、栗東・高野厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:ドバウィハイツ
  • 母父:Dubawi
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全体に速い流れでの推移となった桜トライアル戦のここ。やはり距離1400だけに、どうしても前々の意識が強くなるだのろうか。前半3Fが33.7で1000mも57.4と、息が入りづらい緩みのないペース。ラスト1ハロンではどれだけの馬が横並びになっただろうか。その馬群の中から粘っこい脚を使って伸びてきたのが、1勝馬リバティハイツ。大外から伸びて来たアンコールプリュの半馬身前で、先にゴールを割った。

武豊騎手の騎乗予定馬が、8頭で5頭の抽選に負けて除外。何のしがらみも思い入れもなくなり、ただ単に馬を見てやろうと思う。
入場からパドックで見る。牝馬こそ落ちついた馬がいい仕事をする。まして関東からの遠征である。だからこそパドックで見るのは大事な作業だ。
体が減っている馬が多い。数字と眼の前の馬体をじっくりと見る。モルトアレグロはうるさい仕草。真っ先に黄信号が灯る。イチサルンルンは、14キロ減だが入れ込みなし。関西馬でも、デルニエオールはかなりチャカチャカしている。アンコールプリュは舌を越して遊んでいる。ユッタリと廻ってもいる。騎乗合図となり、眼の前を通るアマルフィコースト。発汗がかなり目立っていた。メモる。

パドックを最後の周回の間に移動。馬場入りが一番の関心事。ここでいろんな性格が判る。入場してすぐに左へとキャンターに移る馬が多い。そんな中で右へ、ゴール板の方へと歩かせていく馬をチェックしておく。たった5頭しかいない。レッドシャーロット、イチサルルンルン、リバティハイツに地方馬スウォナーレ、メイショウコゴミの5頭だ。

廻りに馬がいなくなるのを待っている馬がいた。モルトアレグロだった。空いた時間にジョッキーが跨って出ようとするが、馬がクルクルと数回廻る。過去に関西馬でもこの癖をする馬を見たことがある。モルトアレグロは過去2回、関西に来ているがこのシーンは知らなかった。パドック、馬場入りとモルトアレグロはテンションがかなりハイなのであろう。

双眼鏡でしっかりとゲートを見る。スタートで出遅れた馬がいる。地方馬のスウォナーレ。そして何と!、アンコールプリュが取り残された。その次の瞬間にジョッキーが転がっているのを知る。社台の勝負服を着ている。浜中騎手と後で判る。
アルモニカが出て行って、ラブカンプーも行く。そしてモルトアレグロ、この位置にいるの?と思えるポジションにいた。出遅れたアンコールプリュは後ろでじっとしている。だが、前はけっこう速い流れで行く。

オーロラビジョンに出る数字で3F通過を観る。33秒台だっ!その後も緩みなく進む。アンコールプリュが最後方からどうやって前へ出てくるのか。一番外へは出さない4コーナー。外2頭の内を巧く突いて、外へと出してきた。前ではアルモニカが逃げこまんとしていた。だがラスト50mぐらいから、後ろの馬もグッと迫る。
外から伸びるアンコールプリュも届きそうだと思った瞬間、その内めからスルスルっとリバティハイツが抜けたのが見えた。外、アンコールプリュが伸びて2着。内で白い帽子の2頭が際どく並んでゴールへと入り、3着争いが熾烈。

即、パトロール・ビデオを観に行く。スタートがどうなったのかを知りたくて。
スタートを出た姿勢が低いアマルフィコースト。2完歩目ぐらいに、崩れる様に前へ潰れた。その時に左のモルトアレグロに少し接触した様でもある。それから勢いづいてしまったモルトアレグロ。だからあの位置のレースとなったのだろう。それでなくとも速い流れ。ムキになって行ってしまったかと推測される。
最後の1ハロンが12.2。急に止まったかの様な先行馬達。横一線となった中からリバティハイツが脚を伸ばした。道中は内目で脚を温存できていた模様だ。

抽選で入って、この勝利。持っている馬だろう。逆に負けて強しが、アンコールプリュ。入れ込み気味ながら、デルニエオールの末脚も悪くはない。ただ先週のチューリップ賞組を上廻るかとは思えない。そんな印象でありました…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。