泥んこ馬場でも一生懸命走る”頑張り屋” アッと言わせる準備は整った レインボーライン
2017/12/17(日)
レインボーラインが、悲願の金メダルを狙っている。天皇賞(秋)は道悪をものともせず、キタサンブラックとサトノクラウンに続く3着。ジャパンCは後方からの競馬となったが、上がり最速タイの末脚で追い込んだ。G1では2着が1回、3着が2回とあと一歩。若松敏和厩務員に、セールスポイントと意気込みを聞いた。
－：有馬記念(G1)に出走予定のレインボーライン(牡4、栗東・浅見厩舎)についてお伺いします。宝塚記念の前にもお話を聞かせていただきましたが、宝塚記念のレース当日は実際タフな馬場状態でしたけど、内容はいかがでしたか？
若松敏和厩務員：レース内容は頑張ってくれていましたけどね。
－：外を回らされるような形でしたけど、それでも5着というのは、頭数が少なかったとは言え、あのメンバーを考えると渋太い内容だったと思います。
若：そうですね。頑張ってくれました。
－：レース前は「いつになったらスイッチが入るのか」そこを課題に挙げられていましたよね。
若：そうですね。だから、春はもう一つのところがあったので、その中では頑張ってくれましたね。
－：外々を回らされたことを考えれば、収穫のあるレースだったということですね。
若：そうですね。
－：あの時はゲートに行かれていて、あとでレースを見直されたわけですよね。
若：ええ、いつもゲートには行っています。負けたレースは1回くらいしか見ませんけど(笑)。どんな競馬をしたのかを見るだけですからね。勝ったら何回見ても楽しいですけど。負けたレースはそんなに。
－：勝っても負けてもあまり引きずらず、日々の仕事に集中、という感じですか？
若：「次、次」と思っているので、ダメだったところがあるんだったら反省しないといけないし、振り返らないというか、一生懸命やって負けたんだったら仕方ないし、また次のレースに向けて一生懸命やるしかないですしね。
「去年はデビューしてから1回も休みらしい休みがなかったと思うんですよ。今年はゆっくりとしたローテーションで競馬を迎えられる。体力も去年とは違うでしょうけど、気で走る子だから」
－：天皇賞(秋)前に帰厩した後の状態はいかがでしたか？
若：夏に1回も使わずに放牧に出していたので、フレッシュだったと思いますよ。(去年は)札幌記念どころか、デビューしてから1回も休みらしい休みがなかったですから。春もG1をたくさん使ったし、秋も(菊花賞の後に)古馬相手にジャパンCで、今年はゆっくりとしたローテーションで競馬を迎えられるのでね。
－：札幌記念から菊花賞に向かう過程よりも、今年の天皇賞(秋)に向かう過程のほうがいいですよね。
若：体力も去年とは違うでしょうけど、気で走る子ですから。その気がなかったら走らないでしょうけどね。だから、一戦一戦G1だと、レースですごく消耗するんですよね。やっぱりそれくらい一生懸命走ってくれるし、下見所で乗り役を乗せて地下馬道に入るじゃないですか？馬場で馬を放すまで、すごくうるさいんですよね。でも、帰りはすごく大人しいから、一生懸命走ってくれているんでしょうね。それを見たら、もう負けても何も言えないですよね……。やっぱり悔しいけど、本当にありがたいだけですね。
－：カメラマンと同じ位置でレースを見ることがあるのですが、G1の時は返し馬でみんな先に行くので、特にジャパンCの時は逆の方から待っていたりするので、なかなか地下馬道の様子というのを見られないのですが、どんな様子でしたか？
若：あれは嫌なんですよ(笑)。うるさい馬だったら、ダートを1回跨がないといけなくて、芝の方まで引っ張っていかないといけないから。
▲ジャパンカップの返し馬 大半の馬がスタンド前から4コーナーの方へ向かう
－：確かにちょっと距離はありますね。
若：でも、お客さんがいるし、スタンドを見て「ワッ」と思いますよね。
－：やっぱりホースマンとしてもあの光景というか、あそこで馬を放す時は格別ですか？
若：本当にありがたいですよ。
－：僕は芝コースの外側からよく観ていますが、内の反対から見たら、すごく壮観だろうなという感じがします。
若：ああいう大きなレースを使えるというのは、本当に幸せだと思いますけどね。
－：その点、有馬記念の馬場入りというのはちょっとまた違います。
若：普通にお客さんの前を通って、札幌とか函館みたいな感じですよね。
－：おそらくこれまでの有馬記念だと、グランプリロードを使わないかもしれませんよ。でも、中山は中山で観衆はすごいと思うのですが、大観衆でのテンションはどうですか。たくさんのお客さんに物怖じするとか、そういったことは全然ないですか？
若：全然ないですよ。僕よりしっかりしているんじゃないですかね(笑)。
－：頼もしいですね。
若：普段も頼もしいですよ。G1の前になったら、カメラマンさんがパシャパシャ撮影しますけど、全然気にしないですもんね。僕の方が「オッ」となりますもんね。
「オン、オフがハッキリしているんですよね。競馬と普段の僕が触っている時と乗り役さんが乗って馬房を出る時のオン、オフもあるし、すごくしっかりしているんですよね。それが、ちょっと成長したかなと。走っている時はうるさいですけど、普段は本当に余計なことはしないですね」
－：この秋を迎えるにあたって、成長した部分というのはありますか？
若：いつもオン、オフがハッキリしているんですよね。競馬と普段の僕が触っている時と乗り役さんが乗って馬房を出る時のオン、オフもあるし、すごくしっかりしているんですよね。それが、ちょっと成長したかなと。走っている時はうるさいですけど、普段は本当に余計なことはしないですね。
－：肉体的にというよりは、どちらかと言えば、精神面が成長しましたか？
若：肉体的にもシッカリしましたし、動く方も去年よりはちょっと良くなってきたかなと。どこが、というよりは身体全体的にですかね。
－：天皇賞(秋)の時は体重が増えていました(プラス8キロ)が、それは成長したということですか？
若：それもあると思います。そんなに大きな馬ではないですから、言うほど増えてない気もしますけどね。
－：しかし、先程教えていただいたうるささというのは、あまり表立っては聞かないのですが？
若：競馬の時だけですよ。競馬で乗り役が乗った時だけですからね。ステイゴールド(産駒)ですが、オルフェーヴルやゴールドシップの激しさに比べたら「ネコ」でしょ(笑)。
－：でも、サイズ感を考えるとステイゴールドらしいですね。
若：そうそう。
