シュヴァルグランがついにG1制覇!ボウマンが大仕事!!【平林雅芳の目】

シュヴァルグラン

17年11/26(日)5回東京8日目11R 第37回ジャパンカップ(G1)(芝2400m)

  • シュヴァルグラン
  • (牡5、栗東・友道厩舎)
  • 父:ハーツクライ
  • 母:ハルーワスウィート
  • 母父:Machiavellian

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1番人気はキタサンブラック。有馬記念の中間発表でも、トップの支持を受ける国民的名馬である。今年のダービー馬、レイデオロが2番人気でキタサンブラックに迫ろうかの支持。サトノクラウン、ソウルスターリングと続き、友道厩舎のダービー馬マカヒキよりも、シュヴァルグランの方が上の5番人気支持となった。
ゲートは普通に出られたキタサンブラックが先手を取り、マイペースの逃げ。ラスト400で追い出し連覇を狙ったが、好位の3番手を進んだシュヴァルグランが内から外へ出して急追して、キタサンブラックを抜き去り先頭へ。ゴール寸前にレイデオロにクビ差されて、キタサンブラックは3着となった。

木曜朝、坂路監視小屋にいた。その時にボウマンのエージェントが、友道師に水曜朝のシュヴァルグランの追い切りについて謝罪した。調教ビデオを朝一番に見たが、シュヴァルグランは併せ馬で先行するパートナーの後ろにいた。ラスト2ハロンで前を行く助手が、後ろを振り向いて手振りで前に出ろの指示をするのを見た。それも二度もであった。その後にシュヴァルグランが前に並んで来たが、総体的に遅い時計であった。おそらくその点を謝罪に来ていたのだと思った。
ところが友道師は何も言わずに、気にせずの対応であった。前の週までに十分やってあり出来ているからと、意に介さずだった。ただ漠然とその時に居合わせただけのワンシーンだが、そのシーンが週の後半にズーッと頭のなかで自分のなかで、消化しては思い浮かべては反芻していた。《シュヴァルグランの体調によほど自信を持っているのだな・・》と。

レースを見ている時でも、シュヴァルグランが絶好の枠順を得たにしろ、ベストポジションの3番手の内ラチ沿いをいい手応えで追走しているのが気になっていた。逆にレイデオロは、最初のうちの不利で内から外を選択せざるを得ずの道中の位置取りを見ていた。もっとも怖い3歳馬、レイデオロが優位であるはずの最高の枠の2番を生かしきれていない道中を、内心では安心もしていた。それほどに、キタサンブラックのペースは武豊Jの思惑どおりに進んでいたはずである。
レースを終えて、馬場内で表彰式の声が聞こえている頃に、ジョッキールームでドクターとアフターケアをしている処へ打ち合わせで入った。その時に少しレースの話をした。『ある程度、流れを造っていった。時計も2分28秒台と思っていたし、想いどおりではあったのだが、最後にもうひと伸びが出来なかった。落鉄もあっただろうし、何よりも先着された馬は天皇賞を使っていない』に、《はっ》とした想いであった。

やはりあの極悪の天皇賞を使って中3週のローテーションは、疲れがないと言ったらウソになるだろう。それがいい証拠に、サトノクラウンは10着敗退である。キタサンブラックだって、その前後の着順だってあったかも知れない。だからこそ武豊Jの『走ってはいるよ』の言葉も判る重みである。
シュヴァルグランは1番枠を最大限に生かしての結果。レイデオロは外を廻りながらも、あそこまで詰め寄ってきている。タラレバではないが、不利もなく内々を同じ様に来れていたならもっと際どい勝負をしていたのかもと思える。
前の3頭の後ろは4馬身も離れていた。だが武豊Jは常に前向きだった。『今日の賞金を加算して有馬記念に勝てば抜けるから』と、テイエムオペラオーの賞金を上回るのをあきらめない。

話は前後するが、パドックで今回はジックリと全馬を見る余裕があった。真っ先にレイデオロ、あのダービーの時は最初は一人で引いていたのだが、うるさ過ぎて二人引きになったぐらい。神戸新聞杯の時には何も思わなかったのだから、馬も落ち着きだしたのだろう。今日は二人引きで、ドッシリとは言わないまでも落ちつきがある。
イキートスは、何と女性の厩務員と助手なんであろう、二人の女性が手綱を引いていた。馬場入りは、レイデオロが今日も真っ先に入ってきた。ここらが普通に順番どおりに入ってきたのが、レイデオロは大人になった証拠なのだろうか。常にライブで見ていたいものである。

天皇賞から中3週で、ジャパンカップ。そしてまた中3週で有馬記念のローテーションである。ここはきつい日程であると、改めて思うものであった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。