歴戦の雄、レインボーラインが貫禄勝ち!【平林雅芳の目】

レインボーライン

18年3/18(日)1回阪神8日目11R 第66回阪神大賞典(G2)(芝3000m)

  • レインボーライン
  • (牡5、栗東・浅見厩舎)
  • 父:ステイゴールド
  • 母:レーゲンボーゲン
  • 母父:フレンチデピュティ
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圧倒的1番人気に支持されたクリンチャー。前半の4コーナーまでの入りで掛かり気味のレースとなった。終始、外々を廻る展開となって脚を使ってしまった。
後方の内目で脚を温存したレインボーラインが、外からねじ伏せる様に差しての勝利。2着にサトノクロニクル、3着クリンチャーと、4歳馬の前に立ちはだかった古馬のキャリアの差での勝利。いぶし銀の勝ち方であった…。

パドックでジックリと馬を拝見。アルバートも久しく見ていない。クリンチャーもじっくりと見たことがない。486キロもあるのに、そう数字を感じさせない。仕上がっているとも言えるし、こじんまりした感じを受けた。このクラスの牡馬となると、ドシっとしててあまりパドックでは良し悪しは判らない。
騎乗合図で移動、馬場入りを見届ける。クリンチャーはやや気負って左へとキャンターで過ぎて行った。スタートは向こう正面の左手。長丁場はカーブを小さく廻れのセオリーである。脚を貯めて最後にそれを生かす。

スタートは一斉であった。ヤマカツライデンがすっと出て行く。ムイトオブリガードが押して押して前へと出て行く。内からトミケンスラーヴァ、クリンチャーもいいスタートだった。いい位置にいるなと思ったのも束の間、1ハロンと半分ぐらい行った時に外から前へと前進して行き、2番手のムイトオブリガードの外へ並びかけた。

PVで見たりすると、どうやらそこらでカレンミロティックと接触があった様だが、定かでない。弾けるように外へ流れていたし、勢いづいて前に行った。
前半の3ハロンで2番手のクリンチャーだった。前が5頭。2番手グループの先頭が5馬身後ろ。レインボーラインとアルバートはさらに後ろだった。
何とか収まりだしたクリンチャーは、3番手の外で眼の前を通過して行く。スタンド前を通過して1コーナーを過ぎ、2コーナーに入るあたりでは4番手。向こう正面に入ったら後方にいたシホウが前へと進出。2番手グループの先頭のカレンミロティックを交わして行く。クリンチャーのすぐ後ろで3コーナーを通過。ラスト800で一気にペースがあがる。

クリンチャーも手が動きだして前へと差を詰めていく。ラスト600ではブービーのアルバートまで7、8馬身ぐらいに凝縮しだし、コーナーに入る時はさらに団子状態となっていく。ムイトオブリガードが、ヤマカツライデンに並ぶ。その外へクリンチャーだが、すでに武豊騎手のステッキが1発入った。

青い帽子の2頭が一気に外を上がってきた。サトノクロニクルとレインボーラインで、特にレインボーラインの勢いがいい。岩田騎手の左ムチで、肩へポンと叱咤激励の1発が入るとさらに加速しだす。
ラスト300で内の2頭、ヤマカツライデンとムイトオブリガードの2馬身外めをクリンチャーだが、一番外のレインボーラインがすでに前へと出かかっている。

一瞬、レインボーラインが内へと凭れる。サトノクロニクルの鞍上川田騎手が内へと逃げる恰好をした。
左ステッキで追い出す岩田騎手。レインボーラインはさらに内へと凭れる。ラチ沿いとなったレインボーラインだが、もうセーフティリード。サトノクロニクルが2番手に上がり、クリンチャーはアルバートの追撃をクビ差凌いで3着だった。

検量室前、宮本師が肩を落としている。クリンチャーが枠場に入り、武豊騎手も入って行った。PVを何度も見る。スタートから掛かるまでのところで接触があったのかは判らない。だが予想外であったのは確か。誰よりも早くステッキが入ったクリンチャー、手応えはなかった。それでも3着。本番は違うだろう、と。

レインボーラインは、この5戦を観るだけでも昨春の天皇賞、宝塚記念、そして秋の天皇賞でキタサンブラックの3着。さらにJC、有馬記念と歴戦で善戦している馬である。はっきり言って、ここでは役者が違った感じはある。
3000の長丁場でありながら、一度たりとも13秒台のない緩みのない流れ。最後は地力勝負となった。大先輩のレインボーラインが勝ったと言う結果でした。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。