レインボーラインが馬群を縫って差し切る!【平林雅芳の目】

レインボーライン

18年4/29(日)3回京都4日目11R 第157回天皇賞(春)(G1)(芝3200m)

  • レインボーライン
  • (牡5、栗東・浅見厩舎)
  • 父:ステイゴールド
  • 母:レーゲンボーゲン
  • 母父:フレンチデピュティ
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ヤマカツライデンの逃げにトミケンスラーヴァだけが鈴をつけに行ったが、スタンド前では縦長の隊列。向こう正面に入って後ろを離し気味にと出たヤマカツライデン。後続とは100mぐらいの差をつけた。坂を上がる前に中団で動きが出て、俄かに忙しくなる。中団の後ろにいたレインボーラインは、その時に動かず。前から3頭目の絶好位で進めたシュヴァルグラン、最終コーナー手前で一気に前との差がなくなり先頭で直線に入った。
ひと呼吸もふた呼吸も追いだしを待ったレインボーライン。外へ進路を取らず内目を選ぶ。馬群を縫う様に脚を伸ばしてきてシュヴァルグランがあと少しでゴールに入ろうかの瞬間に、綺麗に内から差し切った。ただ、ゴール入線後に脚元を気にした様で、岩田騎手が下馬。レインボーラインにとって初めてのG1制覇ながら、馬のいない表彰式となってしまった。

スタートは、ヤマカツライデンが好スタートを決めて出て行く。ガンコも前に出て落ち着くかと思いきや、トミケンスラーヴァが押して押して前へと出て行き、坂の下りでは前に顔を覗かせたぐらいだった。だがその後は落ち着きだして、淡々とした流れでスタンド前を通過。前半1000mは60.1で、この10年でも平均な流れ。昨年はキタサンブラックが58.3とハイペースの展開を造ったが、ほぼ例年どうりに推移する。
シュヴァルグランは3、4番手の外目。レインボーライーンは、内へ潜りこんで中団よりまだ後ろめ。ヤマカツライデンの逃げは緩やかだったが、2コーナーを過ぎるあたりから後ろを離して行く。
かなり後ろと差ができた向こう正面過ぎ。後ろにいたサトノクロニクルが前へと上がって行く。アルバートも同じ動きをして、急流を造りだしていった。

クリンチャーを抜いて、シュヴァルグランの外目まで上がったサトノクロニクル。2番手グループも動かざるを得なくなる。坂の下りではガンコが逃げるヤマカツライデンを交わす様な勢い。シュヴァルグランが、その外を持ったままで併走する。ややアルバートだけが外目になっているのが見える。
団子になった先行グループ。その直後にいるミッキーロケットとレインボーラインが、絶好の手応えで追走している。思わず《ミッキーロケットがいいな~》と心の中でつぶやく。

直線へ入って来た。トミケンスラーヴァだけが脚が上がって、馬群から離れている。レインボーラインが真ん中から外へ出るのかと思いきや、そのまま馬群へ突っ込んでくる。内のサトノクロニクルの横をスルリと抜けてくる。しかし、まだ前へとは差がある。シュヴァルグランのボウマンは追いだしている。クリンチャーが外へ出して、シュヴァルグランを追っていく。
馬群をレインボーラインが縫っていく。ガンコの横から、さらにその前へと促していく。シュヴァルグランの内へ潜り込んだ時に、岩田騎手のステッキが2発、そしてさらにもう1発と入る。まるで滑る様に、前へ前へと出て行くレインボーライン。内ラチ沿いにいたミッキーロケットの進路を邪魔しない様に内に注意を払いながら、ゴール寸前には外のシュヴァルグランを観るぐらいに勝利を確信した岩田騎手が映っていた。

幸いにして、レインボーラインは自力で馬運車へ入って行った。右前脚のハ行とのことである。スタートから急がずにじっくりと内に入れて脚を貯め、みんなが動いた下りでも動かず。さらに直線も大外を選択せずに、馬の中へ進路を確保して追ってきた岩田騎手。会心のレースではあったと思う。馬もそれに応えてキッチリと脚を使った。
ダービー8着、菊花賞2着。昨年の春の天皇賞は12着だった。その後の宝塚記念で、再びコンビを組んだ岩田騎手。今年の初陣、阪神大賞典を制しての今回と流れを造ってきた。 いやはや、見事な岩田騎手の騎乗で勝利に導いた今年の春の天皇賞でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。