G1を7勝した女帝・ウオッカが亡くなる

ウオッカ

09年ヴィクトリアマイルを圧勝した際のウオッカ

07年の日本ダービーを牝馬として64年ぶりに優勝するなど、G1を7勝したウオッカが滞在先であった英国・ニューマーケットにおいて、蹄葉炎が悪化したため、現地時間の4月1日午後に死亡したとJRAが発表した。15歳だった。

04年に日高のカントリー牧場で生を受けたウオッカは、父タニノギムレット、母タニノシスターという配合。

06年10月に佐賀の鮫島克也騎手を背にデビュー勝ちを収め、3戦目の阪神JFでG1初制覇。その後はダイワスカーレットと一進一退の攻防を繰り広げ、桜花賞2着後に挑んだ日本ダービーを上がり3F33.0の豪脚で制し、牝馬として64年ぶりのダービー制覇を成し遂げた。

翌08年は安田記念を制すると、毎日王冠2着の後に臨んだ天皇賞(秋)で、東京の長い直線で逃げるダイワスカーレットをハナ差で差し切った。これは日本競馬史に残る名勝負として今も語り継がれている。

09年はヴィクトリアマイルを2着に7馬身差つける圧勝劇を見せ、その後臨んだ安田記念では進路がなくなりながらも抜け出し1着。秋のジャパンCでは猛然と追い込んだオウケンブルースリをハナ差抑え、7つ目のG1タイトルを獲得。09年春に引退した。

引退後はアイルランドで繁殖生活を続け、現在までに5頭が中央競馬でデビュー。4番子のタニノフランケル(牡4、栗東・角居厩舎)は今年中山金杯3着、小倉大賞典2着に入るなど、現在オープンで活躍している。5番仔タニノミッション(牝3、栗東・角居厩舎)は新馬勝ち直後に阪神JFに挑むなど、素質を評価されているだけに、この先母に少しでも近づく活躍が見込まれている。


・谷水雄三オーナーのコメント
「このような形になり大変残念です。ウオッカには、ただただ感謝の気持ちしかありません。7つのG1を勝ち、その全てが印象に残っていますが、特にあげるのであればやはり牝馬として64年ぶりの制覇となった日本ダービーと、13分の写真判定の結果の勝利となった天皇賞(秋)、同じくハナ差で制したジャパンカップです。

繁殖牝馬としても仔出しが良く、今年の1月28日に産まれた父フランケルの牝馬を含め、7頭の仔を産んでくれました。2頭の牝馬はすでに繁殖に上がっており、ウオッカの血を繋いでくれることに期待しています。

多くのファンに応援して頂いた馬で、ファンレターもたくさん頂きました。今でも当時を思い出し、胸が熱くなります。これまでの応援に心から感謝しています」


・角居勝彦調教師のコメント
「厩舎をメジャーにしてくれた功労者で、私にとっても大切な馬でした。ファンも大変多い馬で本当に残念です」


・武豊騎手のコメント
「僕にとって大変思い出深い馬でした。名馬と呼ぶに相応しい馬だと思います。ファンの多い馬でしたし、本当に残念なニュースです。ご冥福をお祈りいたします」


・四位洋文騎手のコメント
「ショックです。僕にとっては子供の頃からの夢であったダービーを取らせてくれたかけがえのない馬です。自分として、スーパーホースの背中を知れた事は、それからの競馬人としての指標にもなりました。あんな馬にはもう巡り合えないかも知れません。ただただショックでなりません。ご冥福をお祈りいたします」